コラム

咀嚼(そしゃく)筋とボトックスの話

久しぶりの論文紹介です。
顎関節症に対する外側翼突筋へのボトックス注入手技の話になります。
※当院では顎関節症の治療は行っておりません

簡単に論文をご紹介した後、一般の方向けに顎関節まわりの筋肉のお話を少しだけしたいと思います。

 

 

Kucukguven, Arda M.D.; Demiryurek, Mehmet D. M.D.; Kucukguven, Meric Bilgic D.D.S.; Vargel, Ibrahim M.D., Ph.D. A Novel Injection Technique to the Lateral Pterygoid Muscle for Temporomandibular Disorders: A Cadaveric Study, Plastic and Reconstructive Surgery: November 2021 - Volume 148 - Issue 5 - p 785e-790e

・皮膚表面からの蝶形骨翼状突起外側板(下頭の起始部)までの平均深さは49.9±2.2mmで,筋体の平均幅は10.5±3.9mmであった。
・27G×50mmの注射針を使用する。耳珠の最前部から10mm前方から、先端は上顎結節から5mm後方,15mm上方に向けて刺入する(皮膚に対して60度の角度)。針先を外側翼状突起が感じられるまで進め,その後2~3mm引き戻し,逆血を確認してから穏やかに薬剤を注入する。
・口腔内粘膜アプローチは標準化が難しく、神経血管損傷のリスクが高い。
などなどでした。

 

 

「噛む」ことに関しては、以下の4つの筋肉(咀嚼筋そしゃくきん)が連動して働いています。
これらの筋肉の緊張をボトックス注射で緩めることで、様々な効果が得られますよ。

①咬筋
エラボトックスとして一番有名な筋ですね。
奥歯を噛み締めた時にモッコリ横に飛び出る”ちからこぶ”をボトックスで動きを止めてあげることで、
下顎骨の外側、エラのフェイスラインがすっきりするというわけです。
使わない筋肉はみるみる痩せ衰えていくので、案外長く効果が持ちますよ。

 

②側頭筋
頬骨、下顎骨の裏側を通る筋肉です。こめかみ付近にちからこぶができますが整容的に問題になるほどの方はあまりいません。
歯ぎしりのひどい方には咬筋と併せて補助的にボトックスを打ってあげるとさらに効果的です。

 

③外側翼突筋 
こちらが上記の紹介した論文で話題になった筋肉です。右下イラストのとおり、水平方向に顎をうごかす筋肉です。奥歯ですりおろすような動きに関連します。歯ぎしりにも関連しますが、まずは①②の治療が先ですね。
ここへのボトックス注入は、大事な神経や動脈が近く、リスクがとても高い治療です。
5cmの針を打ち込むってなかなかすごいですね😅

 

④内側翼突筋 
骨の裏側にあり、主に顎を閉じる機能に関係します。治療に関わることはほとんど無いです。

 

 

 

ご予約Reservation

BR CLINIC GINZAは、
JSAPS所属の形成外科専門医が、
美の再建(Beauty Reconstruction)を行うクリニックです。

ご予約はこちら

toTop